安全で快適な水環境のために

主たる研究対象は,産業用水と産業排水の処理および都市の浄水と下水処理です。

  • 水の使用と排出における環境負荷を最小化する資源循環システムを研究します。
  • 高効率な用排水処理装置を研究開発します。
  • 環境装置内部の移動現象の解析技術を研究します。

研究トピック 1
正浸透(FO)膜による都市下水の処理

分離の駆動力は塩濃度(浸透圧)差のため駆動圧力不要で水分子のみ透過させ下水を濃縮します。濃縮した下水中の有機物からメタンガスを回収します。

研究トピック 2
工業排水の再利用システム

工業排水の回収再利用には,通常,逆浸透(RO)膜が用いられます。

RO膜は原水側にその浸透圧よりも高い圧力をかける必要があるため,多くのエネルギーを消費します。
これに対して正浸透(FO)膜システムは,浸透圧が原水よりも高い液を駆動液として用い,原水中の水分子を駆動液側に移動させた後,DSから水を分離して回収します。

膜透過の駆動力が原水と駆動液の浸透圧差なのでFO膜に比較して低いエネルギー消費で水回収が可能になり、駆動液からの水回収には低品位熱エネルギーが利用できます。

研究トピック 3
浸漬平膜エレメント

膜による水処理の前処理を大幅に省くことのできる浸漬平膜エレメントを開発しています。

研究トピック 4
高濃度汚泥の粘性のモデル化と流動解析

固形物を多く含む高濃度の汚泥は,剪断速度の上昇に伴い見かけ粘度が減少したり,継続的な剪断付与により見かけ粘度が減少したりと,通常の水とは異なった挙動を示します。
この粘性挙動を数式を用いてモデル化します。また,数値流体力学(CFD)手法を用いて槽内の流動を解析します。

嫌気性消化槽の流動解析

研究トピック 5
水処理装置の流動解析

各種水処理装置の内部の水の流れを数値流体力学(CFD)手法を用いて計算します。問題となる現象に焦点を当てて解析を行い、課題解決に貢献します。

担体生物処理装置の担体堆積(測定とR-Flowによる計算)
沈殿池の熱対流の問題

研究トピック 6
太陽熱乾燥装置

太陽熱で暖められた空気を利用して,再生燃料,廃液および汚泥を,省エネルギーで乾燥します。

太陽熱乾燥装置実証実験

他機関との共同での研究成果

「FO膜を用いた超省エネ型下水処理システム」―要素技術の実証と省エネ効果試算―

水ing,水ingエンジニアリング,日本水工設計,造水促進センター,長崎大学,北九州市立大学
第59回下水道研究発表会,2022

「木質バイオマス専焼灰を使用したジオポリマーの材料特性に関する基礎的研究」

西松建設,九州工業大学,京都大学,北九州市立大学
土木学会全国大会第77回年次学術講演会講演集,2022

「スラッジブランケット式沈殿装置による都市下水処理」

メタウォーター,日水コン,北九州市立大学
第55回日本水環境学会年会講演集,2021

「余剰汚泥を低温加熱処理する嫌気性消化の処理性能」

メタウォーター,北九州市立大学
第55回日本水環境学会年会講演集,2021

「酸素透過膜を用いたバイオフィルムリアクターの基礎的検討」

永柳工業,北九州市立大学
第55回日本水環境学会年会講演集,2021

「活性汚泥の年間変動を加味した低温加熱嫌気性消化のプロセスシミュレーション」

メタウォーター,北九州市立大学
第55回日本水環境学会年会講演集,2021

「正浸透膜の下水処理への応用についての基礎検討」

長崎大学,北九州市立大学
第55回日本水環境学会年会講演集,2021

「FO 膜を用いた下水処理システムのための担体ろ過による固形物除去の基礎検討」

水ingエンジニアリング,北九州市立大学
第54回日本水環境学会年会講演集,2020